移り変わり
「紅葉の時期やし、見に行こう〜!」
そんな会話を耳にし、私もふと、地元で有名な街路樹の一本道を思い出す。
緑から少し黄がかって、橙になって紅になる。その色づき方、その変容を目にするだけで四季を感じ、朽ちていくその瞬間は儚い気持ちにさせてくれる。
その度に、年々自分の感性も磨かれているような気分になるのだ。
春は桜を見て、夏は海の潮を感じ、秋は紅に色づくのを見て、冬は雪を眺める。
そんな日本ならではの旬を感じ、浸るのが日本人と思われるだろう。
だけど、木々も色を移ろうように、時代も移り変わっている。
最近は写真を撮るために桜が満開の場所に出向き、SNSにアップするために海に行く。
さも日本人を謳歌しているようなそぶりを見せて。
そこには昔のようにその風景に気持ちを乗せて謳われることはきっとないし、季節の移ろいにもう決して会えない誰かを想うこともない。
少しさみしいけれど、それも枯れなのかもしれない。
枯れが終わったら、満開の桜が観れるのだろうか。
どうかみなさんの心も色づきますように。